取得時効を全て解説
概要
時の経過で権利が動く
取得時効=新たに権利が発生
消滅時効=権利が消滅
の2種類
趣旨
1.長らく続いた状態を守る
例:長年Gさんが住んでる土地の売却の為、その土地の調査をすると、実はGさんの土地でなく、真の所有者が不明だった
2.権利の上に眠るなら保護せず
権利が侵害されてるなら戦うのが権利者の義務
→だから借金の取り立てがきつくなりがち
取得時効
取得時効の対象となる権利には、所有権や賃借権等がある。
要件
①
所有権を取得する場合=所有の意思をもって→
所有権以外を取得する場合=自己の為にする意思をもって
例
アパートの部屋を30年借りた→
部屋の所有権=取得不可
部屋の賃借権=取得可
所有者ではなく賃借人という外形が続いた
②平穏かつ公然に
→こそこそしてちゃだめ
③一定期間占有継続
(1)一定期間とは
1.占有開始時に善意無過失
→十年占有すれば時効取得
注意
開始時点で善意無過失であれば、
途中で「あれ?これ私の物じゃない!?」って気づいても占有期間は十年でいい
2.占有開始時に悪意又は有過失
→20年占有すれば時効取得
※善意無過失、悪意又は有過失とは
=己が真の持ち主じゃないと知ってたかどうか
(2)占有とは
所有権があろうがなかろうが、
賃借権があろうがなかろうが、
他の権利があろうがなかろうが、
とりあえずその物を支配してる状態。
己が直に占有する
「自主占有」のみならず、
他人を通して関節に占有する
「代理占有」にも取得時効を認める。
代理占有の具体例=賃貸借
賃貸人=賃借人を通した「代理占有」
賃借人=己が直に占有する「自主占有」
自らで2年占有し、以後他人に賃貸した
↓
1
自らが占有開始時に善意無過失→8年他人に賃貸すれば所有権を時効取得
2
自らが占有開始時に悪意又は有過失→18年他人に賃貸すれば所有権を時効取得
貸すのも所有者としての振る舞いの1つ
だから自主占有と代理占有の期間を足していい。
他人から占有を引き継いだ場合
前主の占有期間を合算してもいいし、
前主関係なく、自らの占有開始期間を起算点としてもいい。
時効取得する人が一方的に有利にも思えるが、この人も固定資産税を払ったり、それなりに義務は果たしてる。
+
時効取得されたくないなら、権利者として当然の権利を行使して時効完成を妨げるべき。
前主の占有期間を合算するなら、
善意無過失かどうかは前の持ち主の占有開始時にどうだったかで判断。
①
前主が占有開始時に善意無過失→自分も占有開始時に善意無過失
合算する場合
前主の占有開始から十年以上で自分が時効取得可
合算しない場合
自分の占有開始から十年以上で時効取得。
ここでも善意無過失かどうかの基準は占有開始時なので、
途中で前主又は自分が「私のものじゃないかも」と気づいても結論は同じ。
例
前主が2年占有→自分が8年占有
前主も自分も占有開始時に善意無過失なので、
前主の占有開始から合計十年なので、合算すれば自分は時効取得できる。
合算しないなら、自分は占有開始時に善意無過失なので、残り2年占有すれば時効取得できる。
②
前主が占有開始時に悪意有過失→自分が占有開始時に善意無過失
合算する場合
前主が悪意有過失なので、前主と自分の占有期間の合計が20年以上ないと自分は時効取得できず。
占有を引き継ぐなら、前の持ち主の瑕疵も引き継ぐから。
合算しない場合
自分は善意無過失で占有してるので、
自分の占有期間が十年あれば時効取得可
例
前主が2年占有→自分は十年占有
合算すると12年だが、前主が悪意有過失なので、前主の占有開始から20年必要
→自分は残り8年占有しないと時効取得できず。
合算しないなら、自分は善意無過失で十年占有してるので、途中で「自分のものじゃないかも」と気づいてたとしても直ちに時効取得できる。
③
前主が占有開始時に善意無過失→自分は占有開始時に悪意有過失
合算する場合
前主が占有開始時に善意無過失なので、合計十年で時効取得可
合算しない場合
自分は占有開始時に悪意有過失なので、自分の占有開始から20年占有しないと時効取得できず。
例
前主が2年占有→自分10年占有
合算するなら、前の持ち主が占有開始時に善意無過失なので、
途中で前の持ち主が「自分のものじゃないかも」と気づいたとしても、
合計12年なので、自分は直ちに時効取得できる。
合算しないなら、自分は占有開始時に悪意有過失なので、自分の占有開始時から20年占有しないと時効取得できず。
→残り8年占有しないと時効取得できず。
④
前主が占有開始時に悪意有過失→自分も占有開始時に悪意有過失
合算する場合
合計20年で時効取得。
合算しない場合
自分の占有開始から20年占有しないと時効取得できず。
例
前主が8年占有→自分は12年占有
合算するなら、前主の占有開始から合計で20年占有してるので、自分は時効取得可。
合算しないなら、自分の占有開始からまだ12年しかたってないので、残り8年占有しないと時効取得できず。
第三者が現れた
例
一方で土地を占有。
他方で真の持ち主が土地を第三者に売る。
→その後、土地の占有者が時効を完成
土地を、ある意味勝手に占有した結果時効取得した人と、
土地の真の持ち主から正当に買った人、
土地を手に入れるのはどっち?
結論
占有し、時効取得した人が土地を手に入れれる。
理由
買った人は何を買ったか?
→時効が進んでる土地を買った。
時効が進んでないか前もって調べるべき。
買ったならきちんと権利を行使して時効を中断させるべき。
所有権以外の取得時効
賃借権
賃借開始時に、賃借権がない事に善意無過失なら十年、
悪意有過失なら20年賃借する必要があり、更に
継続的用益という外形的事実
+
賃借意思の客観表現
⇒時効取得できる。
地役権
地役権行使開始時に、地役権がない事に善意無過失なら十年、
悪意有過失なら20年、地役権を行使する必要があり、更に
継続行使+外形認識可能
⇒時効取得できる。
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