【宅建】制限行為能力者

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制限行為能力者

 

 

概要

 

制限行為能力者、又は単に制限能力者とは、普通の大人と比べて判断力が不十分と思われる人です。

 

誤った判断で法律行為をし、法的に損しないよう民法で一定の保護します。

 

制限能力者は

未成年、成年後見人、被保佐人、被補助人

の4つに分けられます。

 

 

取消

 

制限能力者がした法律行為は、制限能力者自身や保護者等によって取消ができます。

 

意思表示では取消と第三者との関係が論点になりましたが、

制限能力取消では第三者保護がないので、善意の第三者にも対抗できます。

 

制限能力者は第三者を犠牲にしても保護されるべきと、民法は考えます。

 

法的立場の弱い人をとことん守るのが民法です。

 

具体例にどの法律行為を取り消せるのかは、制限能力の種類によって異なります。

 

 

相手の保護

 

取消権は制限能力者とかにあります。

 

とすると、制限能力者と法的関係をもった相手からすれば、いつ取り消されるか不明な、非常に不安定な立場になります。

 

相手からすれば制限能力者はいわく付きですから、

制限能力者と法的関係を持ちたいと思わなくなり、制限能力者が法的に孤立する恐れがあります。

 

そこで民法は、制限能力者を保護しつつも、相手にも一定の配慮をしています。

 

 

催告

 

具体的には催告権があります。

 

相手から、一ヶ月以上の考える時間を与えて、行為を追認するか迫れます。

 

誰に催告するかというと、行為能力がある人にするのが基本です。

 

保護者とか、行為能力を回復した人、例えば成人した後の人とか。

 

この人達に催告して、ちゃんと期間内に答えてくれればその答えに従います。

 

が、期間がすぎてもちゃんと答えてくれない場合も想定されます。

 

そういう折は民法上追認したと見なされます。

 

しっかりした人に催告して、断る機会も与えたのに、ちゃんと対応しないなら、

やってしまった法律行為の責任はとってもらいます。

 

催告は、しっかりした人だけじゃなく、

被保佐人や被補助人へもできます。

 

被保佐人や被補助人は、未成年や成年被後見人と比べて判断力の劣り具合が軽いからです。

 

とはいえ、本来この人達は保護されるべき人ですから、

催告内容は追認するかどうかではなく、補佐人や補助人、つまり保護者に当たる人から「いついつまでに追認を貰ってこい」っていう催告です。

 

また、期間内に確答がなかったら、こっちは取消になります。

 

行為能力に劣るから、安全第一で取消です。

 

それが困るならしっかりした補佐人や補助人に催告すべきです。

 

 

詐術

 

制限能力者なのにそうじゃないかの如く振る舞うと、取消権がなくなります。

 

未成年なのに成人したと嘘つく、とか。

 

ずるい人は保護に値しませんから。

 

 

制限能力者の種類

 

 

未成年

 

18才未満です。

 

保護者は親権者や未成年後見人です。

 

保護者の同意のない行為は取り消せます。

 

逆にいえば、保護者の同意があれば取り消せません。

 

他にも取り消せない行為があり、

 

保護者が許可した営業関する行為は取り消せません。

 

親の店の手伝いで、売るなといわれてた物を売っても取り消せません。

 

保護者から渡された一定の財産の処分も取り消せません。

 

念頭にあるのは小遣いですね。

 

単に権利を得、又は義務を免れる行為も取り消せません。

 

プレゼント貰うとかで、未成年が損しないからです。

 

 

成年被後見人

 

事理弁識能力を欠く常況で、

家庭裁判所の後見開始の審判を受けた人です。

 

成人では行為能力が最も小さい人です。

 

未成年は年齢で自動で制限能力者になりますが、

成人の3種類は全て家庭裁判所の審判が必要です。

 

保護者は成年後見人です。

 

成人の3種類は、「被」があれば守られる人、なければ守る人です。

 

成年後見人ですが、同意権がありません。

 

その意味は、成年後見人の同意があった行為でも、取消できるというのです。

 

事前に同意をとってたとしても、その場で同意通りの行動がとれない可能性があるからです。

 

殆どの行為は取り消せますが、

日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せません。

 

そんなのまで取消を認めたら、逆に生活必需品を売ってくれなくなりますから。

 

成年被後見人で注意すべきは、

居住用の不動産、建物や敷地について、

売却、賃貸、抵当権設定等するなら、家庭裁判所の許可が必要です。

 

「成年後見監督人の許可があれば家庭裁判所の許可不要」という過去問がありました。

 

「後見監督人って誰?参考書に書いてないけど?」

とか思うかもしれませんが、新出単語やそれっぽい理屈で引っかけてくる宅建試験お得意の罠ですから、引っかからないで下さいね。

 

 

被保佐人

 

事理弁識能力が著しく不十分で、

家庭裁判所の補佐開始の審判を受けた人です。

 

‘著しく不十分’ といいますが、’欠く’ 程重くはないです。

 

成人ですから、家庭裁判所の審判が必要です。

 

被保佐人は、補佐人の同意なく行った重要な行為を取り消せます。

 

逆に、大して重要でない行為は、補佐人の同意がなくても取り消せません。

 

重要な行為とは、

借金の類、つまり借金したり、担保を入れたり、保証人なったり。

不動産その他重要な財産の売買。

贈与や遺贈をしたりされたり断ったり。

相続の承認や放棄、遺産分割。

建物の新築増築大修繕。

土地について5年、建物について3年をこえる賃貸借契約。

とかがあります。

 

具体的に何が重要な行為か?まで過去問で余り見ないので、

傾向だけ掴んで流しとくのがいいでしょう。

 

それと、成年被後見人と同じ趣旨で、

日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せません。

 

 

被補助人

 

事理弁識能力が不十分で、

家庭裁判所の補助開始の審判を受けた人です。

 

単に不十分なだけですが、

家庭裁判所の審判は必要です。

 

この審判ですが、本人以外から請求があると、本人の同意が必要です。

 

後見や補佐の開始の審判には本人の同意は不要なので、

補助の独特な要件です。

 

なぜこんな制限があるのかというと、

若い頃やり手だった資産家が、年いって判断力が鈍って散財してしまうのが困るという家族がいるんですが、

家族がそうやって資産家の散財の自由を制限して、将来その財産を相続しようとしてたりします。

 

被補助人は、成年被後見人や被保佐人よりも行為能力の劣り具合が軽く、介護とかもそんなに大変じゃなく、

守るふりして相続財産を狙い易いのです。

 

それが犯罪とかではないかもしれませんが、

己が築いた財産をどうするかはその人の自由ですから、不当な介入を防ぐべく本人の同意を必要としてます。

 

保護者は補助人。

 

補助人の同意なく行った重要な行為の内、審判で決定された特定の行為のみ取り消せます。

 

重要な行為までは被保佐人と一緒ですが、

その内、取り消せるのは審判で決められた行為に限定されるという追加があります。

 

又、日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消せないのも他と一緒です。

 

 

保護者の権限

 

保護者には

同意権、追認権、取消権、代理権

があります。

 

といいつつ、保護者の種類によっては特定の権限がなかったり、制約されてたりします。

 

未成年の保護者、親権者や未成年後見人には全ての権限があります。

 

成年後見人には同意権だげがなく、他は全てあります。

 

補佐人は、同意権、追認権、取消権がありますが、

代理権は、家庭裁判所の審判により、特定の法律行為に限って認められます。

 

代理は、他の権限と比べて保護者が積極的に判断や行動できる余地があります。

 

例えば不動産の売却とか。

 

勿論、補佐開始の審判の折に「重要な行為」って制約がかかってますが、

代理の折は再度家庭裁判所の審判による事で、

二重に補佐人を守ります。

 

補助人は、全ての権限で家庭裁判所の審判が必要です。

 

基本、被補助人は行為能力の劣り具合が軽いですから、

極力本人の好きにさせてあげようとする傾向があります。

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